『はての島のまつりごと』という映画を見た。
与那国島の2011年からの3年間を切り取った映画。監督は、土井鮎太さん。
まつりごととは、「祭り事」であり「政」である。二つのまつりごとが時系列で並ぶ。
晴れた日には東崎から台湾が見えるという与那国島では、ちょうど自衛隊配備が持ち上がっていた。人口1500人の町に、150人の自衛官(沿岸警備隊)と、レーダー基地を作るというのだ。地権者は、牧場主1人だけ。しかも島の再生をかけて、町が配備に手を上げたといういきさつが分かっていくが、納得しない島民が反対運動をしている。
島を半分に割っての対立なのだが、どうも移住者は配備反対派が多いらしい。虫好きが高じてとか、陶芸をやりたいからとか、自然環境に惹かれての移住だからだろう。
しかし、500筆を越える住民投票請求の署名簿を町議会に提出しても否決される。最後は町長選に500対550で反対派が負けて、2014年、自衛隊の工事がはじまる。その現場近くを、牛や馬が歩いている。ついさっきまでは、天然芝の牧場を歩いていたのに。
自衛隊の誘致の賛否に島の人々の生活がからみ、未来の島の担い手である子どもたちの現実が語られるなかで、なぜ自衛隊を誘致しなければならないと思ったのかを、島民たちの会話で示していく。それは、どこにでもある過疎の問題であった。自衛隊が来れば人が増え、観光客も来て物が動く。職場も出来るなど。
日常を切り取る中で、もう一つの祭り事、島の人々と神との魂の交流が描かていく。中でも、神が島に降りてくるという25日間の「マチリ」が丁寧に紹介される。
| 土井鮎太監督 |
あゝこの監督は、中立でいようとしているんだと思う。ところが、上映後の彼の話しでは、那覇での上映会である女性に、「あなたは、反対なのか、賛成なのか」と、つめよられたと。彼はそのどれでもなく、中立でもないという。ただ目の前に起きていることを、ありのままに撮っただけと。しかし彼がそうありたいと思っても、画面には島民の怒りが静かに流れていることは変わらない。だが、何か落ち着かない。この定まらなさはなんだろうと、考えながら家路についた。これを書きながら、自衛隊配備闘争までも民俗学的視点(この言葉の使い方が正しいか、よくわからないが)から捉えている、その違和感なんだと気づく。良い悪いを越えた、事象としての反対運動をそこにある生活としてあらわしているのだ。しかもそれは、あとでジワリと効いてくるように思う。
最後の牛や馬の親子とシャベルカーとむき出しの土、土で汚れた舗装道路が、島の将来を暗示していると、強く感じた。
それにしても、140分というのは、長すぎる。細部を大切にしているとは思うが、30分くらいはカット出来るのではと正直、思った。
0 件のコメント:
コメントを投稿