お米に黒い点々があって気持ち悪い?
これは、殺虫剤を使っていない勲章です。
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農薬を一切撒いていない田んぼ |
「斑点米」という言葉の意味をご存知ですか?これは、着色している米粒のことをいいます。現在、お米屋さんから購入する米には、ほとんど見られません。でも、有機農家などから直接送ってもらっている人は、一部に黒い点がついている米を見たことがあるでしょう。あの斑点は、カメムシのまだ柔らかい米粒の澱粉を吸い上げた跡です。
▼斑点米って何?
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目視で等級を決めます |
斑点米の食味テストをしたグループがあり、その結果、全く食味には影響がなかったというものでした。また毒性もないので、何ら問題がありません。
ところで、消費者と全く関係なく、「農産物検査法」で規定されているお米の買取の際の等級があります。それを決めるのは、形や水分の他、被害粒、死米、着色粒、異種穀粒、異物です。斑点米は、その中の着色粒に含まれます。
1等米は、この着色粒(およそ1mm以下の斑点等はカウントしない
)が1000粒に1粒まで、2等米は3粒まで、3等米は7粒までと決められています(輸入米の着色粒は、100粒に1粒。等級とは関係なく、合否だけ) 。買取価格は、各県の全農(JA)が決めていて、2等米になると秋田県は600円/60kg安くなります。
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農産物規格規定 |
▼JAの言い分は理解できない事だらけ
このカメムシを防除するのに使われる農薬は2回散布するとして、約300円/60kg。加えて無人ヘリの料金がかかります。大潟村の場合約113円/60kgになります。実際に斑点米を除去するとロスが出ますが、その損は、着色粒1粒を取り除くのに、0.25粒巻き添えになるというものです。つまり、お米が11000円/60kgの場合で59.4円/60kgだけです。買取価格の差額を大きくしておけばおくほど、農薬が売れる仕組みになっているのです。この価格は、国も県も関与せず、地元のJA(農協)内部で決めているのです。ここら辺を見ると、「農薬を売りたい」臭がプンプンします。
米価が変動して特に今年のように安くなっても、この等級差による買取価格が変わらない矛盾を、秋田の今野茂樹さんが秋田県水田総合利用課に問いただしたところ、課長が「等級間格差は説明可能な根拠を持つべきと全農に伝える」ということでしたが、全農は、「秋田県だけで判断できる問題ではない」と、もともと県別に決めているのに、歯切れの悪い答えが返ってきたそうです。
▼米は白くなくっちゃという人のために
どうしても黒い粒はいやという消費者のためには、色彩選別機にかけて除去すれば、何の問題もない1等米になります(それも無駄と思いますが)。当然JAはそれにかけて、着色粒を除去して売ります。この機械も、小型の手軽価格のが出てきましたし、小米や他の植物の種や小石を除去する篩(ふるい)のような機械にかけると、生育が悪くなる斑点米は取り除けるそうです。
つまり、農村地帯に行くと見かける、石取りセンサー付き無人精米所でもある程度取れるということでしょう。
消費者のあなたは、ピカピカの真っ白のお米を食べるために(斑点米も炊けばほとんど気にならなくなる)、ネオニコチノイド農薬を散布してもらいたいですか?
▼ネオニコチノイド系農薬の各国の規制
殺虫剤として使われているネオニコチノイド系農薬とは、猛毒の青酸カリと同じCN基を持っているものもある上、名前から想像できるように、タバコに含まれる毒物のニコチンと似た構造を持ち、更に毒性を強めた化学合成物質と言えます。構造式によって少しずつ効能が違い、分解途上の方が毒性が強まるものなど、毒性も違うようですが、ヒプロニルを含め、浸透性農薬としてくくられています。
この種類の薬剤は、1991年頃から徐々に認可され、2002年には水田でよく使わるクロチアニジンが認可さています。
長野市の養蜂家の依田清二さんは、被害が顕著になったのが、2007年だったといいます。2005年ころから岩手県の養蜂家の蜂群がどんどん死に、大問題になってきました。依田さんのところでも、影響が出始めました。
ウィルス説、細菌説、ストレス説などがありましたが、ネオニコチノイド系農薬が、原因だと言われるようになりました。
では何故、ネオニコチノイド系農薬がミツバチの大量死を引き起こすかというと、この農薬が、中枢数神経系に作用するということから来ています。この農薬は、浸透性でかつ残効性であるので、苗床に粒剤を撒き、次はカメムシ被害に遭う穂が出る頃に撒きます。この頃は暑いので、ミツバチは巣を冷やすために(冷やさないと蜂の子が死ぬ)水を巣に運ぶのです。その格好の水源が田んぼなんです。体内に水を吸い込んで運ぶため、まず中枢神経をやらて巣に戻れなくなり、もどれてもそこで死ぬことになるのです。
また、蜂の子も毒水を飲んだりもするので、死ぬのです。
ジャーナリストの岡田幹治さんは、海外の事情を紹介しました。それによると、欧州などでも、ミツバチだけでなく、野鳥の減少現象などから、この農薬の毒性に気がついてきました。EU は、2013年の12月から、ミツバチが採蜜する作物への3種類のネオニコチノイド系農薬の使用を2年間制限すると発表し、その間に毒性検査をするというもの。
アメリカでは、4種類のネオニコチノイド系農薬の花粉媒介昆虫のいるところでの使用禁止をラベルに明示することを決めました。オバマも「花粉媒介昆虫の健康促進戦略」を打ち出しています。そのほか、韓国、オランダでも規制が進んでいます。
▼生態系への影響も明らか
浸透性農薬タスクフォース(TFSP)が今年の8月に発表した「世界的総合評価(WIA)でも、土壌や水中に長期間残留し、ミツバチだけでなく、ミミズや淡水貝などの無脊椎動物、鳥や微生物にも影響するといっています。
もちろん人間もその範疇にあり、中枢神経に作用するので、特に胎児や新生児期に曝露すると、発達障害などになる可能性があります。日本では、脳学者の黒田洋一郎さんや平久美子さんなどの研究が進んでいて、致死性は、有機リン系と同等かそれ以上、散布された食品(果物などをたくさん食べる)を連続的に食べると中毒を起こすこともあります。日本でも果樹園などでネオニコチノイド系農薬を散布した直後に、その近くの保育園や小学校などで、子どもたちが落ち着かなくなって暴れる、体調を崩す、モノ忘れが激しくなるなどと発達障害的症状を表すことが認めらています。
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舘野さんの田んぼ |
▼殺虫剤を撒くとどうなるか なんと害虫が増える
さて、みなさん、それでもカメムシ防除に薬を撒きたいですか。
栃木の舘野廣幸さんは、農薬も化学肥料も使わないコメ農家です。彼の田んぼには、トンボも、カエルも、蜘蛛も、よくわからない(私が)虫がたくさんいます。でもカメムシはあまりいませんと、彼は言います。私が見たときは、トンボがたくさんいました。
農薬(殺虫剤)を撒くと、カメムシが増えるというのですよ。
なぜカメムシが増えるかと言うと、殺虫剤は、害虫だけに効果があるのではなく、ただの虫にも、益虫にも効果があるし、虫を食べる小鳥やカエルなどの動物にも効果がある、つまり、皆殺しにするのです。ところが、害虫は、少し生き残ったものが、性懲りもなく、薬剤耐性をもって繁殖してきます。
益虫は、実は散布された薬剤で死ぬだけでなく、その薬剤に汚染された虫を食べることで、害虫より汚染度が高くなり、絶滅の坂を転がり落ちていくというわけです。ここにも、生物連鎖の法則がみられます。「だから……」と、舘野さんは声を高くして言います。「農薬を撒きたいという誘惑にかられることはよくわかります。でも、麻薬と同じで、一回でも撒いたら、負の連鎖が始まります。我慢して撒かないことです」と。難しいけど、やってみる価値ありますね。
またこうも言います。「お前のところが撒かないから、虫が増える」と。でも「そっちが撒くから、うちの田んぼに逃げてくる」と。さて、どちらでしようか。
いずれにせよ、危険な農薬を口に入れないためにも、斑点米は、農薬がかかっていない指標だと思って、食べてください。
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「2014-11-05 斑点米農薬防除をやめて安全な米とミツバチを守ろう 市民集会――危険なネオニコチノイド農薬とコメ流通のしくみを知る」を参考に書きました。
この集まりは、農水省は今年6月20日にミツバチ被害に関する報告と方針の中で、斑点米カメムシ防除に使用されたネオニコチノイド系など農薬が、ミツバチの大量死の原因になっていることを認めました。
それを受けて、今回農水省に「ミツバチ被害の原因となる斑点米カメムシ防除のための農薬使用を止め、その使用を強要する農産物検査法・植物防疫法の見直しを求める要望」を提出しました。その報告会です。
カメムシの画像 カメムシの種類が多く、全ての種類で害虫どうかが、はっきりしていない。
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A0%E3%82%B7+%E7%A8%AE%E9%A1%9E&rlz=1C1CHPM_jaJP408&espv=2&biw=1100&bih=597&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=3P5iVNuMI6XdmAWus4HgCw&ved=0CAYQ_AUoAQ#facrc=_&imgdii=_&imgrc=k0DVdnfxG90rGM%253A%3BPK36myy8DRvmkM%3Bhttp%253A%252F%252Fhikyou.sakura.ne.jp%252Fv2%252F%2525E3%252582%2525AB%2525E3%252583%2525A1%2525E3%252583%2525A0%2525E3%252582%2525B7%2525E3%252581%2525AF%2525E3%252580%252580%2525E9%2525A3%25259F%2525E6%252596%252599%2525E5%252580%252589%2525E3%252581%2525AB%2525E3%252580%252580%2525E5%2525B1%252585%2525E3%252582%252592%2525E6%2525A7%25258B%2525E3%252581%252588A.jpg%3Bhttp%253A%252F%252Fhikyou.sakura.ne.jp%252Fv2%252F2011%252F10%252Fpost_2896.html%3B400%3B301